私は、令和3年(2020年)の4月に特定行為研修9区分16行為を終了しました。
このブログを読んでくれている方の中には、特定看護師に興味がある方もおられるのではないでしょうか? 特定看護師目指したいけど実際はどんな風に働いてるの?など興味がある方もいるかもしれません。
特定看護師はまだまだ認知度も低く、勤務先の考え方によって働き方は様々なのが現状です。
この記事では、私の特定看護師としての働き方を紹介しようと思います。
特定看護師としての働き方
私は9区分16行為の特定行為研修を終了しました。今、私の勤務する病院には2人特定看護師がいます。(2022年秋に二人目の特定看護師が研修を終了しています。勤務する病棟は違います)
今、特定行為を行っているのは、9区分16行為の内、2区分2行為です。気管カニューレの交換と、創傷管理(デブリ)です。
私の場合は、看護業務を普通にしています。担当部屋をもちますし、時々リーダーもします。特定行為を行うからといって、通常業務を外れることはしていません。
そして褥瘡委員会に所属しています。普通は数年ごとに褥瘡委員は交代しますが、特定看護師は交代なくずっと褥瘡委員です。主な活動が創傷管理だからかと思われます。
特定看護師の働き方は、勤務する病院の方針によります。私が研修していた時の同期の人の話では、通常業務をしながら特定行為をしている職場もあれば、特定行為の時間を設けている職場もあります。管理職をしているので研修だけを終了したという人もいます。(研修には、看護部長や師長、主任クラスも結構いました)
気管カニューレの交換業務
自部署の対象患者の気管カニューレ交換をしています。この特定行為は、研修終了後3か月ほど医師と一緒に行いました。その後は医師から許可もあり、手順書を作成し、私と部屋担当の看護師で施行しています。基本的にすべての手技を私がしますが、必要なときに吸引などの補助をしてもらっています。
定期交換が主なので、交換予定日は決まっています。その日に、自分で物品の準備をして部屋担当の看護師に声をかけています。他にも、定期交換はまだ先だけど閉塞気味な気がすると、部屋担当の看護師に相談されて臨時で交換することもあります。
創傷管理業務
特定行為としては、褥瘡の壊死組織の除去になります。研修が終わったら何をしたいか聞かれたときの、第一希望はデブリでした。ここは、皮膚科は週に一度、他病院から皮膚科医が往診します。全病棟を皮膚科医が半日かけて回ります。
特定行為としてデブリを行うことができれば、例えば週1回往診時にデブリをしていた場合、週に1回私が特定行為をして、次の週は往診するという風に皮膚科受診の回数を減らすことができます。他にも、皮膚科受診前にデブリをしてから受診し、皮膚科医がチェックするだけにすることもできます。
そうすることで、皮膚科医の負担を減らすことができます。患者さんにとってもこまめな処置ができるので、褥瘡の治癒も早くなります。
今私が所属している病棟は、褥瘡患者は数人いますが、壊死組織があるほどの褥瘡患者は年に1人いるかどうかです。
特定行為研修終了した当初は、「じゃあ、デブリはよろしく!」とはもちろんなりません。経験値、ゼロですから。
そのため、ある事情で褥瘡(特に壊死組織のある)が多い病棟があるので、週に1度の皮膚科往診時につかせてもらっていました。皮膚科医に指導してもらいながら、デブリの経験値を積みました。
今は、年に1人いるかどうかの壊死組織のある褥瘡が発生したときは、皮膚科往診日以外の日に、特定行為として手順書の範囲内ならデブリをしています。そうすることで、デブリをした状態で皮膚科受診ができますので、皮膚科医の負担も減りますし、治癒までの期間も短縮していると感じます。
褥瘡が少ないのでデブリをする機会はさほどありませんが、逆に考えれば、ほぼすべての患者さんが寝たきり状態の方のなか、そこまでひどい褥瘡を生じることなく過ごせているということになります。
エアーベッドもエアーマットも無い、5cmほどの薄い低反発マットレスしかない病棟で、職員全員でポジショニングに奮闘しています。ポジショニングをチェックしたり、設定するのも私の仕事の一つです。褥瘡委員会でポジショニングや創傷の講義を依頼されることもありました。
特定看護師だからなのか、褥瘡委員だからかは自分ではわかりませんが、褥瘡ができたときや、何か傷があるとき、ポジショニングに悩んだ時など、私に声をかけて相談してくれる看護師がふえました。
有難いことですし、それにこたえることができるように、「皮膚の事なら特定に相談しとけはばんとかなる」と思ってもらえるように、今後も継続学習を続けたいと思っています。
特定看護師の認知度の現実
私の所属する病棟では、看護師には、特定看護師という存在は周知されています。ただ、同じ部署の看護師でも、特定看護師がどんなことをどの程度勉強しているのか、どこまでのことができるのかなどを詳しく知っている人はいません。
さらに、残念なことに病院全体では、特定看護師はさほど周知されていません。今年、二人目の特定看護師が誕生し、3人目の看護師が研修中です。ですが、特定看護師がどのように活動していくのかの指標も、まだできていません。
特定行為研修についておすすめしたいブログ『Nurse×Career』
特定行為研修に関して、おすすめしたいブログがあります。シトラスさんが運営している『Nurse×Career』というブログサイトです。
特定行為研修の記事が、とてもわかりやすく詳しく書かれています。多くの特定看護師の方や認定看護師のかたへ実際にインタビューされて、情報収取をしたうえで記事を作成されています。
例えば、「看護師の特定行為の活用方法や実際の使い方を紹介」の記事では、手順書とともに、どのように特定行為をしているのかがわかりやすく書かれています。
「医師の信頼を勝ち取れ!特定行為研修に必須 オススメ参考書」の記事では、実際に研修をされたときに役立った参考書を紹介されています。私も今更ながら、『内科レジデントの鉄則』は、読んでみようと思いました。とても興味深い記事ばかりですので、ぜひ、参考にしてみてください!
私の終了した特定行為
プロフィール記事にも載せていますが、9区分16行為再度紹介します。
1)呼吸器(人工呼吸療法に係るもの) 関連
①侵襲的陽圧換気の設定の変更
②非侵襲的陽圧換気の設定の変更
③人工呼吸管理がなされているものに対する鎮静薬の投与量の調整
④人工呼吸器からの離脱
2)呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連
⑤気管カニューレの交換
3)栄養に関わるカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連
⑥中心静脈カテーテルの抜去
4)栄養に関わるカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連
⑦末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入
5)創傷管理関連
⑧褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
⑨創傷に対する陰圧閉鎖療法
6)栄養及び水分管理に関わる薬剤投与関連
⑩持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
⑪脱水症状に対する輸液による補正
7)感染に関わる薬剤投与関連
⑫感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
8)血糖コントロールに係る薬剤投与関連
⑬インスリンの投与量の調整
9)精神および神経症状に係る薬剤投与関連
⑭抗けいれん剤の臨時の投与
⑮抗精神病薬の臨時の投与
⑯抗不安薬の臨時の投与
特定行為研修に関して詳しく紹介しています。
まとめ
特定行為研修を終了した看護師は、年々徐々に増えています。特定看護師がもっと認知されて、研修で得た知識や手技を活かして働くことができるようになることを願っています。
コメント