採血や点滴をする時に必要な駆血帯。普段どのくらいの強さで締めているでしょう?
適切な圧は40mmHg程度です。思うよりずっと軽く締めてちょうど良いと思いますよ♪
駆血帯を締める時の適切な力加減とは?
適切な40mmHgの圧って、どの位か数値を言われてもあまりピンとこないですよね。
採血や末梢点滴のルートなどで使う静脈は皮静脈です。皮静脈は皮膚のすぐ下の皮下組織の中を走っています。そのように皮静脈は浅いところを通っているので、そんなに強く締めなくて良いんです。
むしろ、強く締めない方が良いです。
バケツやタライに10㎝程お水を張って、バケツの底に手の平をつけてみてください。その時に手背にかかる圧位です。こんな?っと思うほどだと思いますよ♪
ただ、これは個人の感覚によりますので、”静脈が怒張しているけれど動脈は触れているか”を見てもらうと良いですね♪
患者さんの腕の色が悪くなったり、白っぽいまたは黒っぽくなった時は締めすぎです(;・∀・)
強く締めすぎると動脈まで止めてしまっているので、末梢へ流れる血液量が不足してしまいます。怒張も不十分になって逆にやりにくくなります。
静脈血の還流をある程度阻止できる強さで、動脈の流れは止めない程度の圧が理想なんです。
特に高齢の方の血管は、脆いので駆血帯が強すぎると針を刺した途端に血管が破れることも…!
また、高齢者は皮下脂肪が少なくなるので動脈が触れやすくなっていることもあります。正中皮静脈からの採血でも動脈の位置を確認しておく方が安全です(*^^)v
ちなみに、動脈を締める時の圧は水深2mだそうですよ
駆血時間の目安は?
うっ血を防ぐためにも、駆血時間は2分以内が目安です。採血の場合は、1分以内です。
それ以上時間がかかってしまうと、血液が濃縮して生化学的成分に変化が起こってしまいます。
血液比重やカリウム値の上昇やクロール値の低下、乳酸値の上昇など多くの検査に影響し正確なデータが得られなくなってしまいます。
もしも、採血をする血管がなかなか見つからないときは、1分以上時間が経ったら一度駆血帯を外してもう片方の腕で探すか、2分以上間をあけてから再チャレンジしましょう♪
表面に見える細い血管よりも、触ってみて触れる血管を探します。採血部位を温タオルで温めたり、心臓より下に下げたりすると血管が怒張しやすくなります(#^^#)
私はワンタッチ駆血帯よりも、昔ながらのワンタッチピン式の駆血帯が好きです。
ラテックスフリーなら、ラテックスアレルギーを気にすることなく使うことができます。
好きな色を選ぶことができますし、聴診器の色と合わせたら、オシャレですね♪
血管がわかりにくくても、してはいけないこと
クレンチングといって駆血後に何度も手を握ったり開いたりすることは、血清カリウム値などの検査値に大きな影響を与える可能性があるので、今はなるべく行わないとされています。
クレンチング動作の時に、筋細胞から血液中に一過性にカリウムが出てくるためです。
また、血管の怒張があまりしない時に、パンパン!とたたくことも今はしません。
かえって血管が収縮してしまうのです(>_<)
採血のスピッツの順番や、採血時の注意点については「採血時のスピッツの順番と注意点」の記事で詳しく解説しています。
ルートを取るコツ
私は療養病棟勤務しています。採血もルート確保も高齢者の脆弱な血管です。それでも採血は正中皮静脈や橈側皮静脈あたりで取れることが多いのですが、問題はルートですね。
下肢でルートをとる時は、足背動脈が触れている位の圧で駆血帯を縛ります(^-^)
寝たきりの患者さんの場合、自己抜針予防のために下肢にルートを取ることも多いです。ルートが取りやすいのは、大伏在静脈(内踝)や小伏在静脈(外踝)ですね。私はまずばそこから攻めます。目で見にくくても外踝の骨周囲を触診したら、プニプニしている血管を見つけることができますよ♪
それでも、出にくい!となれば、足背静脈弓の細い静脈を探します。外套の長さ分まっすぐな血管を狙うのもひとつです。ですが、そこまでまっすぐな状態ではなく曲がっている静脈も多いですうよね。
そんな時は、外套の先端が例えば0.5~1cmほどを血管に入れるようにする方法もありますよ♪(24ゲージまたは翼状針使用)血管からすぐのところから針を入れるのではなく、先端が狙った位置に入るように外套の寸法を見定めて、血管のない手前の方から挿入していきます。
私は毛細血管!?と思えるほど細い血管しかない足背でも、この方法でルート挿入をしています♪もともと、「血管無い!」(本当に血管がないわけではないですが)という細い血管の人ほど燃えるタイプです♪採血も、ルート確保も経験です(^-^)
まとめ
意外と締めすぎがちな駆血帯。
締めすぎないほうが、ちゃんと怒張してくれるので、かえって採血や点滴のルート確保はしやすくなると思います。
採血前に適切な圧で駆血帯をして血管を探して、ここだ!という血管を見つけてから採血をすると、きっとうまくいきますよ♪
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