看護師をしていると、例えば電車に乗っているときのつり革を持っている人の腕や手背などが目に入った時、ついつい血管を見てしまいませんか?
“あっ。この人採血しやすそう”とか思ってしまう時、“あ~職業病だなぁ”と思ってしまいます。そんな血管ですが、採血をしたら血液は赤いのに、手の甲から見えている血管が青いのって不思議ですよね。
静脈だから?それもあります。動脈は深いところを通っているので皮膚の上からは見えないです。静脈は真皮のすぐ下の浅いところを通っているので皮膚の上からでも見えます。
皮膚の上から静脈を見た時に青く見える理由は、光のせい、または錯覚のせいなどの説があります。
血管が青く見えるのは光のせいだった?
まずは、青く見える理由は光が原因という説の話です。
自分の手背をみた時に見える血管の色は、青色です。でも、実際に採血をして青い血液はもちろんでてきません。それなのに、なぜ青く見えるのだろう?と不思議でした。
還元ヘモグロビンの多い静脈血は黒っぽいから皮膚を通したら青く見えるのかな?と何となく思っていました。青く見える理由は、皮膚の中に入った光の動きに関係するようです。
光の中の“赤い光”は波長が長いため皮膚の奥部まで侵入してから、皮膚の外へ出行きます。“青い光”は波長が短いのですぐに皮膚の外へ出ていきます。
皮膚の奥まで入る赤い光は、静脈内にも入るので静脈内で多少吸収されます。そして赤色が吸収されない他の皮膚と静脈上とでは、赤色の戻る量が違ってきます。
でも青色は他の部分と同じ量で戻ってくるので皮膚の上から見ると、静脈が青色がかって見えるということになります。
それに加えて血管が青く見えるのは、“目の錯覚”もあります。静脈の周りの皮膚は赤色が強くなるので、色のコントラストにより静脈の青みがよりますように見えるのですね。
ただ、静脈がすべて青く見えるわけではなくて、例えば目の内側に見える毛細血管などは、透けて見えるくらい表面の方ににあるため、血液の色がそのまま赤く見えます。
血管が青く見えるのは、目の錯覚だった?
青く見えるのは、光のせいかと思いましたが、こんな記事も見つけました。
青く見える静脈は、実は赤に近い灰色をしていて、それが青くみえるのは、目の錯覚によるものだという説の話です。立命館大の北岡明佳教授が明らかにしています。詳しくはコチラを。
人間の視覚には、物理的には同じ色が周囲の色との対比によって、異なる色に錯覚して見えるという現象があります。今回、錯視研究の第一人者である北岡教授は、灰色と肌色が混在した絵をインターネットで見ている際に、灰色が青色に見えることに気付き、「人間の静脈も同じ原理で青色に見えているのでは」と検証を行いました。
腕や脚を写真で撮影して画像処理ソフトで検証したところ、R(赤)G(緑)B(青)の数値は、黄色がかった灰色の値を示しました。
結果、人間の静脈は、周囲の肌の色と、静脈の部分の灰色の色の対比により、目の錯覚や脳での信号の処理が複合的に生じ、青色と認識してしまうことがわかりました。
文学部 北岡明佳教授が“人間の静脈は実は灰色で、錯視によって青色に見えている”ことを発見! (ritsumei.jp)
人間の静脈が青く見えるのは、周りの皮膚の色の肌色と、静脈の灰色の対比によって、目の錯覚や脳での処理などの要素が混ざりあった結果なんですね。
隣り合う色が影響し合い、色相がずれて見えてしまう。(色相は、赤、青、緑のような色味の違いのこと)おもしろいですね♪
人間の目が、色を異なる色に錯覚することがあるので、灰色と肌色が混ざる血管が青く見えるということのようです。今は、こちらの説が有力なようですね。
私は仕事で採血をしますし、静脈血が青くないのはわかります。酸素の少ない血液は皮膚を通すと青く見えるのだと思っていたので、この話を知ってなるほど!と思います。
スマホで自分の手背の写真を撮ってズームをするだけでも、青く見えていた血管は肌色になっていきます。
実験までしなくても、そのようにして簡単に確かめることができますね♪
外から見て青く見える錯覚は、看護師として点滴をする時には、わかりやすいのでありがたい錯覚です。灰色で皮膚と同化していると持続点滴などで血管を探すときに苦労してしまいます。
本当に青い血液をもつ生き物はいる?
人間の血は鉄分を多く含み酸素と結合するために赤く見えます。理科室にあった人体模型や教科書に載っている静脈の青い色は動脈とわけてわかりやすくするためです。
人間の血液の色は本当に青色ではないですよね。でも、胴を多く含むエビなどの甲殻類やクモなどの節足動物、イカなどの軟体動物、バッタなどの昆虫の血液は本当に青いんです。
まとめ
職業病でついつい確認してしまう静脈。青っぽく見えるけど実は違う。実際に目で見えているからといって、それが正しいとは限らないのですね。
コメント