リハビリテーションの専門職である、理学療法士や作業療法士などのことを「先生」と呼んでいる病院や施設が時々あります。リハビリ職種の人をなぜ「先生」と呼ぶのでしょう?
理学療法士同士で「先生」と呼び合うのは自由です。結論から言うと、他のコメディカルが理学療法士のことを「先生」と呼ぶ必要はありません。
理学療法士や作業療法士を先生と呼ぶのはおかしい?
医療現場では、医師を始め看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師、理学療法士、作業療法士‥等、たくさんの専門職がチーム医療をしています。医師や歯科医師以外の医療関係者で、医師の指示の下で医療業務を行う職種をコメディカルと言います。
医師を中心に、さまざまなコメディカルの専門職が連携するからこそ、充実した治療をスムーズに行うことができています。
リハビリ専門職には、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)があります。(他にも柔道整復師や視能訓練士、技師装具士などもあります)
今、私が働いている職場は昔のなごりからなのか、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のことを 『先生』と呼びます。現在はそのように呼ぶ医療現場は減っているようですね。
医師を先生と呼ぶのはわかりますが、理学療法士はコメディカルの一職種であり「先生」ではありません。
看護師のことは 「さん」 で呼び、リハビリの理学療法士などを 「先生」 というのは、なんともおかしな話です。リハもコメディカルなのですかから「さん」で十分なはずです。コメディカルが「先生」ならば、医療従事者のほとんどが「先生」になり、なんともややこしい状態になってしまいます。
医療現場はチームで動くといっても、それぞれの職種間の関係性ってとても大切です。その中で、「先生」と呼ぶ職種が一つだけあると、上下関係があるように錯覚してしまいがちです。
そのため、上からものをいう若い理学療法士などが存在してしまうのかもしれません。でもそうなることで、リハと看護部との連携は、ギスギスしてしまいます。
患者さんがリハビリを「先生」と呼ぶことはある
患者さん、特に高齢の患者さんはリハビリの理学療法士のことを「先生」と呼んでいることもあります。他に何と呼んでいいかわからないということもあるでしょう。
特に名前がわからないときは「先生」と呼んでしまえば通じますし、それならひとりずつ理学療法士や作業療法士の名前や職種を覚えなくてすみます。
この人は理学療法士さんで、この人は作業療法士さん…など患者さんには区別もつきませんし、それなら「先生」と一括して読んだ方が楽なのでしょう。
看護師は昔からなじみが深いので患者さんもわかります。ですが時々、高齢の患者さんが男性看護師を 「先生」と呼んでいるのを見かけますね。高齢の患者さんにとっては、女性の「看護婦さん」のイメージが強いのかもしれません。
*理学療法士が国家資格として誕生したのは1966年です。当時183名の理学療法士が誕生しました。1963年に東京の国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院が始まりです。1965年に理学療法士および作業療法士法が施行されています。
1979年に短期大学教育、1992年に大学教育も開始しています。今後高齢化が進んでいく中で、リハビリが必要な患者さんは増えていきます。理学療法士の仕事の幅は今後も広がっていくのでしょう。
先生と呼んでしまえば楽?
先生と呼ばれている職業って多岐にわたります。学校の先生はもちろんですが、例えば政治家、医師、言語氏や税理士、芸術家‥等。「先生」と呼ばれる職業に時に定義がないためあいまいに使えてしまいます。
私は20代のころエステサロンで店長をしていました。お客さんやスタッフからは 「店長」と呼ばれていましたが、業者の人からは「先生」と呼ばれていました。
なんでそう呼ばれるのか違和感しかありませんでした。業者の人は私より明らかに年も上の方が多かったですし、始めの頃は「その呼び方やめて下さい」と言っていました。
次第に面倒になり「先生」と呼ばれても返事していましたが(^-^;
きっと業者の人は役職を把握していなくても、「先生」と呼んでいると間違いがないので、そう呼んでいたのかなと私なりにそう納得していました。
また、視野の狭い人を揶揄するときにおちょくって「先生」と呼ぶこともあります。
有名な川柳に 「先生と 呼ばれるほどの馬鹿でなし」というものもありますね。意味はコトバンクから引用します。
先生と呼んでも、必ずしも敬意がこめられているわけではなく、むしろばかにすることの多いところから、呼ばれていい気になっている者を軽蔑していう。人をむやみに先生呼ばわりする風潮や、呼ばれて得意になっている人への批判をこめていう。
コトバング 先生と言われる程の馬鹿でなしとは – コトバンク (kotobank.jp)
まとめ
看護師もそうですが、コメディカルの者同士で、理学療法士のことを 「先生」 と呼ぶ必要はありません。敬称として「先生」と呼ぶのは、医師にだけで良いのではないでしょうか。
私も以前は職場の風習に習って、「先生」と呼ぶようにしていましたが、今は「さん」呼びに変えています。
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