ポジショニングのクッションはどのように入れているでしょうか?
私は創傷管理の特定行為研修を終えています。褥瘡が壊死した時にデブリ(壊死組織を除去する)の特定行為ができます。ですが、褥瘡を生じないようにすることの方がとっても大切だと思っています。
そのために大切なことの一つにポジショニングがあります。その人の状態に合わせてクッションなどで除圧します。
入れる部位やクッションの種類は患者さん個々に違うと思います。ポジショニングで決めた位置に決めたクッションを入れているとしても、その入れ方が大切です。
ポジショニングクッションの入れ方で私が思う大切なことは3つです。
すき間を作らないこと、クッションを慣らしてから入れること、体のねじれがないか確認することです。
私が臨床でよく見かけるポジショニングで、気になったものを書いていきたいと思います。
クッションはすき間を作らないように入れる
・背中にクッションが入っているけど、肩や首の下にクッションがなく隙間がある場合
この状態が続くと、肩や首に力が入るため首が反ってしまう可能性があります。また、肩甲骨が開かないので、肩も内に入り、腕も胸の前で曲げて拘縮してしまう可能性も出てきます。
首から肩まで隙間がないようにして、首をしっかり支えるようにします。
・大腿部と下腿部の下にクッションは入っているけど、膝下に隙間がある場合
少し拘縮がある場合に多いのですが、脚下にクッションが入っていても足が伸びないために膝下に隙間ができていることがあります。
この場合、下腿にクッションを入れていてもすき間があれば無意味な状態にあることも多く、踵も除圧できずにマットレスについてしまっていることも多いです。
そのままの姿勢でいることはつらいので、足はもっと曲がります。側臥位の状態なら、股関節が歪んできて膝が内側へ入ってきます。
すき間ができると、その場所が浮いている状態になるので、自然と力が入ってしまいます。
筋緊張の状態になるので、拘縮も助長してしまいます。
すき間ができた部位のクッションの端だけに圧が集中してかかってしまうことも多いです。
そこに褥瘡ができる可能性も出てきます。
リラックスして体を乗せられるように、隙間ができないようにクッションを置いて欲しいと思います。
すき間を埋めるためにしっかり入れ込まないといけないんですね。
グイグイ入れ込むのは良くないですよ。例えば背中に深く入れすぎると、肩甲骨が広がらなくて肩が内側に入ってしまいます。押し込まず、クッションに体を乗せる感覚です。
クッションを入れこんで押さえつけるのではないんですね。クッションを置いてその上に体を戻して乗せるんですね。やってみます!
クッションはならしてから入れる
私の職場で、側臥位にして体を支えた後、ポンポンと勢いよく枕を入れていく場面に時々出くわします。
そのクッションの中身が大きなビーズのクッションならきっと、ゴワゴワして大変不快な状態になります。クッションを入れる直前に手で撫でて慣らして平らにしてから、そっと入れて欲しいと思います。
全体に、クッションを入れた後、背抜きをすることも忘れないようにしてほしいです。
体のねじれがないか確認する
クッションを入れて、はい!終了!ではないです。
ポジショニングは基本的に、頭から足へ向かってクッションを入れます。足まで入れた時に、上半身がずれてしまっていることがあります。
また、クッションを深く入れすぎていると肩や骨盤が歪んだりもします。
ポジショニング終了!と思った時に、鎖骨と鎖骨の間のくぼみから、恥骨までの線がまっすぐか確認してみてください。まっすぐなら良し♪です。
歪んでいるなら、まっすぐになるように調整します。
これをしないと、例えば側臥位で歪んでいると、自然とバランスを取ろうとして、膝が内側に入り、顔は向いている方と逆側を向いてしまいます。
体験してみて思ったこと
普通にリラックスしている状態で、動かずにじっとしていられた時間は3分でした。
ついモゾっとしてしまいました。自分で動けない患者さんの場合、このモゾっとができません。
クッションも、カバーをピシッときつく巻かれた状態でふくらはぎのところに入れると、5分もせずにふくらはぎがしびれて痛くなってきました。入れるクッションは固すぎるのは良くないということですね。
側臥位になり、枕と背中に隙間を開けて、肩の下にはクッションがない状態を作ってみました。
自然と首から肩に力が入っているのに気づきました。
腰と臀部に隙間があっても、体に力が入ります。
しっかりと体を包むようにクッションを置くと体の力を抜いて持たれることができて楽でした。それでも、5分もすると動きたくなりました。
個人差はあると思いますが、こんなに短時間でも動かずにいるのはしんどいんだなと気づきました。
以前研修に行った時にギャッジアップの体験をしたことがあります。ギャッジアップをした時に背抜きをしないでいると、下に体が引っ張られているような感覚がありました。首も少し気道確保されている様な感覚です。
そのままの状態で、食べたり飲んだりできるかな?と考えた時に、むせそうだなと感じました。そのような状態で高齢者に食事介助をしたら誤嚥のリスクが上がりますよね。背抜きという少しの手間は、患者さんにとってとても大切なケアの一つです♪
まとめ
特に高齢の寝たきり患者さんは、廃用によって筋委縮や関節拘縮が起きやすい状態です。
ポジショニングは、褥瘡予防だけでなく関節拘縮を最小限になるように、また、患者さんがリラックスして過ごせるように行いたいです。
個別的に決められた位置に、決められた種類のクッションをただ入れれば良いというものではなく、そこにひと手間かけてもらえたら…と思います。
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